ウォルマート(WMT)への投資は待った!


ウォルマートの最初の配当は、1974年に支払われた1株当たり0.05ドルでした。それ以来、毎年配当は増加しており、現在では1株当たり0.51ドルの四半期配当を支払っています。

2017年は多くの小売業者にとって非常に厳しい1年となりました。インターネット小売大手Amazon(AMZN)率いる電子商取引の脅威は、小売業界に大きな風穴を開けました。

そのような中、ウォルマートは今年非常にうまく立ち回りました。ウォルマートは、Amazonと競争するために最も適した小売業者であることを証明しているため、株価は年初来40%増となりました。

事業の概要

ウォルマートストアの1号店は、1962年にアーカンソー州ロジャーズで開店しました。サム・ウォルトン(Sam Walton)によって設立され、最低価格を提供するというシンプルなビジョンでビジネスを開始しました。この哲学は、ウォルマートの長年にわたる巨大な成長をもたらしました。

ウォルマートは1972年に株式公開されました。当時は51店舗で、年間売上高は7,800万ドルでした。

今日、ウォルマートは世界中の28カ国に11,600店舗を展開し、年間売上高 4,850億ドルを達成しています。

WMTの概要

(出典:2017年ファクトブック、5ページ)

ウォルマートの米国セグメントであるウォルマートU.S.には、米国50州、ワシントンDC、プエルトリコなどのすべての小売店およびデジタルビジネスが含まれています。

ウォルマート・インターナショナルは米国外27カ国で事業を展開しています。

最後に、会員専用の倉庫型スーパーマーケットであるサムズ・クラブ(Sam’s Club)は、米国とプエルトリコの48州で運営されています。

2017年度は、同社が戦略的成長投資を加速したため、1株当たり利益は4%減少しました。しかし、これらの投資によりウォルマートは成長軌道へ復帰することができました。

成長の見通し

ウォルマートの総売上高は前四半期比4.2%増の1,230億ドルとなりました。米国内での売上高は、需要が1.5%増加したため、2.7%増加しました。当四半期の米国の電子商取引売上高は50%増加しました。

ウォルマートの復活は、主に電子商取引の投資によるものです。昨年度の電子商取引売上高は150億ドルに達しており、毎四半期ごとに高い成長率を維持しています。

WMTデジタル

(出典:2017年ファクトブック、4ページ)

また、ウォルマートは電子商取引の成長を加速するために、Jet.comの33億ドルの買収など多数の買収を行いました。また、中国の電子商取引サイト「JD.com」への投資持分もあります。

ウォルマートにとってのもう一つの成長の触媒は、国際的な成長です。同社は2018年と2019年に新規で255の海外店舗をオープンする予定です。来年の米国での新規店舗開店数が15未満であることとは対照的です。

新規海外店舗は、ウォルマートにとって大きな成長機会であるメキシコと中国に焦点を当てています。両国ともに消費者層が大きく、経済成長も高いことが特徴です。例えば、ウォルマート傘下のメキシコ小売大手のウォルメックスの前四半期では、売上高が7%増加し、中国での売上高は4%増加しました。

2018年度のウォルマートの調整後利益は4.38ドルから4.46ドルになると予想されています。これは前年度比1.4%から3.2%の伸びとなります。これにより、ウォルマートは引き続き配当を増やすことができます。

競争上の優位性と不況のパフォーマンス

ウォルマートの主な競争優位性は、規模の莫大さです。ウォルマートストアは、米国人口の約90%の10マイル以内に位置しています。

その分配効率により、ウォルマートは輸送コストを低く抑えることができ、毎日低価格で顧客にサービスを提供することができます。

ウォルマートは広告を通じてブランド力を維持しています。ウォルマートの膨大な財源は、巨額の資金を広告に費やす余裕があります。

  • 2015年の広告費用は24億ドル
  • 2016年の広告費用は25億ドル
  • 2017年の広告費用は29億ドル

ディスカウント小売店においてトップレベルの低コストで市場をシェアしているウォルマートの競争優位性は、安定した収益性を確保するのに役立っています。これは、景気後退期にあっても当てはまります。

ウォルマートはリーマンショック時に驚異的なパフォーマンスを出しています。リーマンショック期間中、同社は毎年1株当たり利益を着実に伸ばしていました。

  • 2007年のEPS:3.16ドル
  • 2008年のEPS:3.42ドル(8.2%増)
  • 2009年のEPS:3.66ドル(7%増)
  • 2010年のEPS:4.07ドル(11%増)

リーマンショックが間近数十年間で最悪の景気後退の1つであることを考慮すると、非常に印象的なパフォーマンスだと言えます。この期間中のウォルマートの成長実績は、今後の景気後退に対しても恩恵を受ける可能性があることを十分に示しています。

小売業の低コストリーダーであるウォルマートのビジネスは、景気低迷時に消費者の意識が高価な小売業者から目移りするにつれて、需要を増加させていくと考えられます。

評価と期待リターン

ウォルマートの経営陣は、2017年の調整後1株当たり利益を 4.38〜4.46ドルになると予想しています。株式の株価収益率は約21.8倍となります。

WMT評価

(出典:バリューライン)

ご覧のとおり、ウォルマートの現在の評価は過去の水準をはるかに上回っています。過去10年間の株式の平均株価収益率は14.6倍でした。現在のウォルマートの株価は、その10年間の平均PERを約50%を上回っています。

この株式は2004年以来、22倍を上回る株価収益率を保っていませんでした。長期的な低迷が続き、ウォルマートは過去10年間の大半を10倍台で推移していました。

ウォルマートへの投資リターンは、株価収益率を除いて、事業収益の成長と配当から生み出されます。期待リターンの予測は以下の通りです。

  • 2%〜3%の売上増
  • 2%〜3%の自己株式取得
  • 配当利回り2%

このシナリオでは、合計リターンは年間約6%〜8%に達します。

しかし、現在の株価収益率がトータルリターンに悪影響を及す可能性があります。ウォルマートが過去10年間の平均的な評価に戻った場合、株式は約33%減少することになります。

結果として、現在のウォルマートは過大評価されているように見えます。

最終的な考え

ウォルマートは長期にわたり苦戦を強いられてきました。しかし、同社は2017年に入って、特に電子商取引において大きな進歩を遂げました。これにより、他の小売業者よりもAmazonとの競争がはるかに効率的になりました。

驚くべきことではありませんが、ウォルマート株は小売業者の中でも傑出した業績をあげています。これは、2007年〜2015年に保有していた投資家には大きく報いる結果となっています。

しかし、過去10年平均を大きく上回る現在のウォルマートの株価収益率は、同社の成長性を考慮しても割高であり、もはや投資として魅力的ではないと思われます。

今後ウォルマートが投資家に報いるためには、引き続き安定した利益成長を続け、毎年穏やかながらも配当を上げ続けなければならないという条件がつくことになります。

よって、現在のウォルマートに関して言えば、優良な配当成長ポートフォリオ構築を目指す投資家にとっては保留株式となります。


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